花音

花火の音が、空気を揺らす
青や赤や 鮮やかな金の色が
漆黒の空 キャンパスにして ひとつふたつ
僕を染めた

見えない物さえ感じるために
人は他人を 求め続けるから

深く負った傷口は
まだ何度も抉られて その度に疼く

まるで叫び出したくなるような 夏の暑さに
惑わされる 煙に巻かれる
ひとりきり途方に暮れる
目映い光が すり抜けてゆく

繋いだ手の温もりは消えてしまったけど
あの日からずっと 胸の奥で響いている
心を揺らす 花火の音が

空気を揺らす、花火の音が
今も響いている