夏の蛍光灯

どうして こんなにも空気が動かないつらい晩は
ブラウン菅の見えない風が 心だけ揺らす

扇ぐ手を止めては 遠くを眺めてみるけれど
何も 何も見えはしないんだ、ずっと

聞こえるだけ
聞こえるだけ

電球の音がうるさくなった

月明かりも星の光も届かないように 黒を纏い
捕まえにいきたい

冷たくて 甘い ひとかけらをあげよう
手のひらに触れて 受け取って

感じてみたい 変わっていく体温があるから
こぼれ落ちる 目の前で跳ねる、ずっと

転がるだけ
転がるだけ

その、ぬるくて 辛い ひとしずくをちょうだい

味わうだけ
味わうだけ

そんなものを頭の中
描いただけの晩だった