控えめにつけたラジオから 聴こえた音があった
柔らかく揺れるメロディに よみがえった記憶があった

晴れの日に、寄り添って歩いてくれたひとのこと
雨の日、小さな傘をわけてくれたひとのこと
どんな日も、優しく話してくれたひとのこと

時が経っても メロディは また胸をしめつける
つらくなんかなかったのに 涙が出てしまいそうになる

帰り道、夕焼けを見るのが好きだったひとのこと
線路沿い、花火を見ようと約束したひとのこと
どこにいても、いつまでも一緒だと思ったひとのこと

時が経っても 変わらず都合のいい僕は
泣き虫だったそのひとの 笑った顔しか思い出せない

いろんなものを落として
たくさんのものを拾って
抱えきれなくなっては 繰り返し
それしかできずに だけど進んできたはずなのに

時が経っても メロディは また胸をしめつける
今もつらくなんかないのに 涙が出てしまう

時が経っても 変わらず都合のいい僕は
泣き虫だったそのひとの 笑った顔しか思い出せない